日本財団 図書館


 

いずれにしても電子マネーをどのような価値を持ったものと位置づけるかによって、対象法も異なり、満たすべき要件が異なってしまう。現存する法律で規定できない性格のものであると判断されるならば、解釈の仕方を議論するだけでなく、今後新たな規定法を模索していく必要があるだろう。

c) 時効の問題

電子マネーを債権と考えれば、民法第167条により時効は10年となる。また、小切手と考えれば、小切手法第51条により時効は6ヶ月となる。このように前項と同じく、電子マネーを既存の法律で規定するとすれば、どの法律で規定するのか、新たな法制度を整備するならば、どのようなものにしていくべきなのか、という点を明確にする必要があろう。

 

民法 第167条

債権ハ十年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス

?A 債権又ハ所有権ニ非サル財産権ハ二十年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス

小切手法 第51条(時効期間)

所持人ノ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対スル遡求権ハ呈示期間経過後六月ヲ以テ時効ニ罹ル

?A 小切手ノ支払ヲ為スベキ債務者ノ他ノ債務者ニ対スル遡求権ハ其ノ債務者ガ小切手ノ受戻ヲ為シタル日又ハ其ノ者ガ訴ヲ受ケタル日ヨリ六月ヲ以テ時効に罹ル

 

?A 銀行法

銀行以外の機関が個人間や企業間の資金決済を含むサービスを行う場合には、銀行法における為替業務の規則に抵触する。すなわち、資金決済に関連する業務は銀行法により、銀行だけが行うことのできる業務であると決められている。この点に関しては今後の金融改革とも併せた議論となると思われるが、上記の発行主体の議論等との関係もあり、金融機関以外への権限の拡大については慎重に検討すべきであろう。

 

銀行法 第2条

この法律において「銀行」とは、第四条第一項の大蔵大臣の免許を受けて銀行業を営む者をいう。

2 この法律において「銀行業」とは、次に掲げる行為のいずれかを行う営業をいう。

一 預金又は定期積金の受け入れと資金の貸付け又は手形の割引とを併せ行うこと。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION